おかだ直樹物語(第1回)

◇政治家への道

 十年前の平成十二年のことである。金沢市内のハローワークの窓口で雇用保険を申請しようとしている男がいた。勤めていた新聞社を辞めて無収入になった岡田直樹だったが、担当者から「どんな再就職を希望するの?」と聞かれて途方に暮れた。

 求職票に「国会議員」と書くわけにもいかず、適当な職種を書いて雇用保険を受け取る手もあったが、それは不正のように思えたのだ。考えあぐねた末に岡田直樹は「保険は要りません。本当は政治家になりたいんだから」と言ってハローワークを飛び出した。

 それから二年近く、いったん石川県議会に入るまでの間、物を書いたり、多くの人々のご好意で食いつないだ。言わば「自発的失業者」だったから、本当の失業者とは訳が違う。だが、定収も貯金もない切なさは忘れられない。

 いまハローワークは職を求める人であふれている。その気持ちが鳩山由紀夫首相に伝わっているだろうか。母親から巨額の政治資金を受け取ったと聞いては、「国民目線」「生活者重視」のスローガンも空々しい。

 旧年、わが石川県も建設会社の破綻や百貨店の縮小、ビール工場の撤退と暗いニュースが相次いだ。親が失業したら、子ども手当が入っても子育てはできない。今は景気と雇用が最優先だ。絵に描いた餅のマニフェストに縛られず、有効で大胆な景気対策を打つよう政府の尻をたたくことが必要だ。

 さて、そんな思いを抱いている岡田直樹はどんな道を歩いてきて、なぜ政治家に志したのか。これから「おかだ直樹物語」をつづっていく。